委託前の事前通知、書面契約の必須記載事項、再委託の原則禁止まで。廃棄物処理法が排出事業者に課すルールを、行政書士がわかりやすく解説します。

排出事業者責任とは何か

産業廃棄物は、それを排出した事業者(排出事業者)が最後まで処理責任を負います。これを「排出事業者責任」といいます。

「専門業者に丸投げしたから、あとは業者の問題」とはならないのが、廃棄物処理法の大原則です。

業者に処理を委託する場合でも、排出事業者は適正な業者の選定・契約・管理を行う義務があります。

この義務を果たさなかった場合、不法投棄など問題が起きても「知らなかった」では済まされません。

ポイント
委託しても責任はなくなりません。適正な手続きを踏むことが、排出事業者自身を守ることにもつながります。

委託前の通知義務(特別管理産業廃棄物

特別管理産業廃棄物の運搬や処分、再生を他人に委託しようとする場合には、あらかじめ、受託者に対して委託しようとする特別管理産業廃棄物の種類、数量、性状その他の定められた事項を文書で通知しなければなりません。

この通知は「業者が適正に処理できるかどうかを判断するため」のものです。通知なしに委託した場合、業者が廃棄物の性状を知らずに誤処理するリスクが生まれ、排出事業者も責任を問われます。

委託契約は必ず書面で

産業廃棄物の処理を業者に委託する場合、口頭での約束は法律上認められません。廃棄物処理法施行令第6条の2が、産業廃棄物処理委託基準として書面による契約の締結を義務づけています。

委託契約書は、委託終了の日から5年間保存することが義務づけられています。口頭のみの契約は義務違反となり、排出事業者側も罰則の対象になります。

委託契約書の必須記載事項

委託契約書には、次の事項を必ず記載しなければなりません。記載漏れがあると、書面があっても委託基準違反とみなされるケースがあります。

産業廃棄物の種類及び数量
運搬を委託するときは、運搬の最終目的地の所在地
処分又は再生の場所の所在地、その処分又は再生の方法及びその処分又は再生に係る施設の処理能力
許可を受けて輸入された廃棄物であるときは、その旨
最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力
など

再委託の原則禁止

排出事業者から処理を委託された業者が、さらに別の業者へ処理を委託すること(再委託)は、原則禁止されています。

STEP1
排出事業者

廃棄物を排出・委託契約を締結
書面契約・情報提供が必要。委託先の許可確認も義務

STEP2
委託業者(収集運搬・処分業者)

直接処理することが原則
排出事業者から受託した処理を自ら行う義務がある

STEP3
原則禁止

第三者への再委託
無断で別業者へ処理を丸投げすることは違法。排出事業者がその場で承諾していても原則認められません

例外的に認められる再委託
排出事業者があらかじめ書面で承諾している場合
再委託の内容が委託契約書に明記されている場合等

再々委託は例外なく禁止されています。

違反した場合の罰則

主な罰則(廃棄物処理法)

委託基準違反(書面契約なし・記載不備等):3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方
無許可業者への委託:5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(法人は3億円以下)
帳簿の備え付け義務違反:30万円以下の罰金

行政書士に相談すべきケース

委託契約書の作成・管理は、記載事項の漏れや許可証確認の手間など、専門知識が求められます。

以下のようなケースでは、早めに行政書士へご相談ください。

委託契約書の雛形を整備したい・現行の契約書の妥当性を確認したい
行政指導・立入検査への対応をサポートしてほしい
収集運搬業・処分業の許可申請を行いたい